トクする住宅ローンが終了!?住宅ローン金利は今後どうなる?
新年明けましておめでとうございます。
去年は何といっても新型コロナウイルスの影響が私たちの生活に大きな変化をもたらしました。
今年に入ってもコロナは収まる気配がありません。
早く収束に向かうことを願うばかりですが、こんな状況下だからこそ、
「今、住宅購入に踏み切っていいものか?」
と不安を抱くご相談者もたくさんいらっしゃいます。
やはり私たちの役割は、住宅相談を通じて、皆さまの将来に関する不安や悩みを解決し、
安心して住宅購入がすすめられるよう、お手伝いをすることにある、と再認識しています。
その使命を全うするべく、2021年もしっかりと活動していきます。
今年も宜しくお願い致します。
さて、皆さんもうご存じのことと思いますが、住宅ローン減税のルールが令和3年度、そして令和4年度と、続けて変更になる予定です。
このルール変更は今から住宅ローンと向き合う人たちにとって大きな影響を与える可能性大なので、今回はそのあたりの解説をしたいと思います。
目前に控えた令和3年度の改正はさておき、私が問題視しているのは令和4年度から適用される予定のルール変更です。
どのようなルールかというと…ズバリ、住宅ローン減税額の見直し(縮小方向)です。
ざっくりと説明します。
これまでの住宅ローン減税額の計算は、「年末のローン残高×1%」でした。
例えば、年末に残っている住宅ローン残高が4000万円だった場合は
4000万円×1%=40万円
40万円の税額控除が受けられる、つまり40万円税金が戻ってきます(所得税・住民税から)。
この計算ルールがどのように変わるのか?というと…
「年末の住宅ローン残高×1%」 もしくは 「年間支払利息額」 のどちらか少ない方
となってしまう予定です。これ、実はかなり大きいです。
例えば、住宅ローン金利が0.5%だったとします。
(正しい計算方法ではありませんが、簡単に説明すると)
住宅ローン4000万円 × 金利0.5% = 20万円
「年間支払利息額 」は、20万円となります。
この計算で算出した20万円と、「年末の住宅ローン残高4000万円×1%=40万円」のどちらか少ない方、というルールですから、
税額控除は20万円となってしまうのです。
なんと現行ルールの40万円(4000万円×1%)の半額です。
なぜこうなってしまうのか!?その背景は…
そもそも住宅ローン減税という制度の本来の主旨は、
「住宅ローンを借りて家を買う場合の、住宅ローンの金利負担を軽減すること」
にあったのですが、現代の住宅ローンは金利があまりにも低くなっていて、
1%を大きく下回る条件の住宅ローンの場合住宅ローン減税でトクするケースが増えてしまった、
これは本来の住宅ローン減税の主旨にそぐわないのでは?という理屈です。
どうやらこのルール改正は免れないようですが実は私が一番問題視しているのは、このルール改正そのものではなく、
このルール改正に伴って“銀行が住宅ローンの金利を上げてくるのではないか?”
という懸念です。何故か?というと…
住宅ローン減税額の計算が
「年末の住宅ローン残高×1%」 もしくは 「年間支払利息額」 のどちらか少ない方
になるということは、
“住宅ローン金利が1%以下であれば住宅ローンを借りる人の実質負担額は、金利が何パーセントであろうとも変わらない”
と、とらえることができます。
金利が0.5%だった場合は 4000万円×0.5%= 20万円、
金利が0.8%だった場合は、4000万円×0.8%= 32万円、
それぞれ、一年間で負担した支払利息額が、住宅ローン減税額として戻ってくるということになります。
当然、当人の所得に応じて条件は変わりますが、その年に負担した金額が税金として戻ってくる、と捉えることができてしまいます。
そうなれば、誰が喜ぶのか?
住宅ローンを取り扱っている銀行ではないでしょうか?
銀行が貸し出す住宅ローンの金利が、0.5%であろうと0.8%であろうと、
どちらであっても借入者の負担する支払利息を、国の税金で全額補填できるのであれば、
借入者にとっては極端な話、金利は「どちらでも良い」と解釈することもできます。
この制度にあわせた住宅ローンの商品開発などもされるのではないでしょうか?
これまで以上に住宅ローンの借り方に工夫が必要な時代がやってきたな、と、ひしひしと感じる今日この頃です。
おうちの買い方相談室名古屋店 代表 岩本貴久