住宅ローンの繰り上げ返済はお得!?それとも損!?
今日のテーマは
「住宅ローンの繰り上げ返済」についてです。
こんにちは(^^♪おうちの買い方相談室の岩本です。
10月に入りかなり涼しくなってきましたね(^^
住宅ローンの繰り上げ返済とは、
住宅ローンの返済計画を当初の予定より
前倒しして返済することを言います。
主な目的は、
“住宅ローン支払い利息の節約”です。
果たしてこれが得なのか?損なのか?という
ご相談を時々頂きますので、
今日はこの部分について解説をしていきます。
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目次
住宅ローン繰り上げ返済のメリット
メリットは冒頭で解説のとおり、
支払利息の節約です。
住宅ローンを当初の予定よりも前倒しして
返済することで、本来支払う予定だった利息を
軽減することができます。
住宅ローン繰り上げ返済は手段が二種類あります。
- ▶︎返済額軽減型
- ▶︎期間短縮型
返済額軽減型は、
当初の返済期間はそのままで、毎月の住宅ローン返済額を
軽減することに繰り上げ返済のお金を充てます。
一方、期間短縮型は、
毎月の住宅ローン返済額はそのままで、
当初の返済期間を短縮することに繰り上げ返済のお金を充てます。
同じ金額を充てた場合、利息の節約効果が大きいのは「期間短縮型」です。
【参考】
住宅ローン借入額3000万円 35年返済 金利1.0%
<返済開始10年後に300万円を繰上げ返済した場合…>
返済額軽減型の場合の節約効果
毎月の返済の軽減額 11,300円
総節約利息額 約391,000円
- 期間短縮型の場合の節約効果
短縮期間 3年8か月
総節約利息額 約771,000円
このように、同時期に同額の繰り上げ返済をした場合、
期間短縮型のほうが利息の節約効果が大きく、
その効果は返済額軽減型の約2倍にも及びます。
よって、利息の節約を目的とした繰り上げ返済をする場合は、
圧倒的に「期間短縮型」のほうが効果的だということです。
繰上げ返済のデメリット
繰上げ返済をすると支払利息が節約される一方でデメリットも生じます。
そのひとつが、
「住宅ローン控除」の節税効果が縮まる
ことです。
住宅ローン控除の節税効果は
住宅ローン残高によって計算されます。
いつ住宅ローンを借りたか?によって
制度のルールが少しずつ違いますが、
いつの制度が採用されていたとしても、
「年末に残っている住宅ローン残高」を元に
計算されるというルールは同じです。
(現行(2022年)の制度は新築の場合、
控除率0.7%・控除期間13年)
よりたくさんの節税効果を得たい場合は、
控除が受けられる当初13年間は、
年末に残っている住宅ローン残高が
たくさんの方が良いということです。
つまり、住宅ローンの利息を節約しよう!と、
繰上返済をすると、
利息が節約される一方で住宅ローン控除によって
得られる節税効果が薄れるという
デメリットが生じるということです。
どちらが正解?
そうなると着眼点は、繰り上げ返済によって
得られる利息の節約効果と、
損なわれる減税効果のどちらが大きいか?と
なるのですが、
判断の見極めのポイントは
「住宅ローン金利」と「住宅ローン控除率」です。
住宅ローンの金利のほうが
住宅ローン控除率のほうが高ければ、繰り上げ返済がお得、
住宅ローン金利よりも住宅ローン控除率のほうが高ければ、
繰り上げ返済は損、という判断ができます
(厳密に計算すると少し誤差が出ますが)。
現在(2022年)の住宅ローン控除率は 0.7% です。
去年までの控除率は 1.0% だったのですが、
今年から控除率は下がりました。
つまり、住宅ローン金利が少なくとも
この 0.7% を下回らなければ、
住宅ローン控除の額が支払い金利額が上回ることは
ありません。
住宅ローン控除で得するケースは少ない
ということです。
もちろん、現在の住宅ローン金利は
いまだに低金利が続いており、
0.7%を下回る金利条件のものがあるのは
事実です。
とはいえ、利息を払ってでも控除の額で得する!と
断言できるような条件はなかなか難しいです。
このような状況を加味して
住宅ローン繰り上げ返済の損得を判断する必要があります。
繰上げ返済のもう一つのデメリット
住宅ローンには原則、団体信用生命保険といういわゆる住宅ローン保険への加入が
義務付けられています。
住宅ローンの債務者が返済の途中で死亡(もしくは高度障害)してしまった場合、
その時点で残っている住宅ローン残高がきれいさっぱりなくなるので、
残された家族にとっては安心です。
万が一の際に、家族の生活を守ることができます。
住宅ローンの繰り上げ返済という行為は、
手元にある資金を使って住宅ローン残高を小さくする一方で、
この団体信用生命保険で得られている家族の生活保障も削っている、という見方もできます。
つまり、住宅ローンの返済途中に債務者のお父さんが死亡してしまった場合は、
繰り上げ返済はしないようが良かった、と言えます。
繰上げ返済をすると手元の資金は住宅ローンに吸収されてしまいます。
団体信用生命保険で住宅ローンはゼロにはなりますが、手元の資金は戻ってきません。
繰上げ返済をしなければ手元に残っていたであろう大切な資金が
住宅ローンに吸収されてしまうのです。
もちろんこのような事態は可能性として極めて低いですが、
万が一の事態が起こってしまっても家族の生活を守る、という役割を
団体信用生命保険が果たしているということまで考えると、
住宅ローンの繰り上げ返済はしないほうが良いのでは?となるでしょう。
いかがでしょうか?住宅ローンの繰り上げ返済をすると、
メリット、デメリットがそれぞれ生じますが、みなさんはどちらを選択しますか?
その正しい判断のお手伝いをするのが私たちおうちの買い方相談室の役割です。
気になる方はぜひご相談ください。
おうちの買い方相談室名古屋西店 岩本貴久